大場佳恵のブログ
地主会への道【16】
私は彼女と大いに笑った。
写真は異質な者としてコーヒーを飲むラクジー。
五月なのになんだか寒気がするというので、
私の膝掛けとストールをグルグル巻きにした。
黄色だらけの異質な存在として、みくらリビングにて佇む。
彼女は今回の曲をレッスンで練習していると二回ほど大きく感情が揺すぶられた。
一回目は考察して、私なりの解釈を説明してみた。
二回目はそんなことをする必要は無くなっていた。
二人とも言葉を交わすまでもなく、
もう大丈夫だと理解した。
地主会では不思議な事がよく発生する。
何気なく選曲した曲が、本人にとって今、歌い切らなければいけない課題を含んでいることがよくあるのだ。
そこへ、思いもしないアレンジで地主先生がギター伴奏をしてくれたりするので、
不意打ちをくらうのである。
この『不意打ち』ということが、私は歌を歌う上で重要だと思っている。
予め想定され過ぎたことを生演奏でやる意味は無いだろう。
予定調和的な演奏ほど聞いていて眠くなるものはない。
何が起こるかわからない、今、この瞬間を彼女の歌で感じてみたいと思う。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【15】
小学生の生徒さんだけではなく、
最近、奈保美先生によくなぞなぞを出す。
大場:『なおちゃん、なぞなぞです。◯◯ってどういう意味だ?!』
奈保美先生:『え〜!?何〜佳恵ちゃん』
大場:『正解は⬜︎⬜︎でした』
奈保美先生:『佳恵ちゃん上手いこと言うなぁ!!』
遊んでいるのではない。
極めて重要な仕事の打ち合わせの会話である。
緊張する場面で、いかに建設的に場を壊す事ができるか、ということは中々難しい。
今回の地主会で最大のなぞなぞが生徒さんから私に出された。
『私は何の曲を歌うでしょうか?!』
大場:『?・・・』
本日は地主会本番まで1ヶ月を切っているのだが彼女は選曲が決まっていない。
地主先生が決めるらしいのだ。
みんなで考えてみようと思うが、
正解者はいるのだろうか。
地主会の出演は二回目で、本当に久しぶりの再会になる。
彼女の弾き歌いを楽しみに取っておこう。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【14】
一人の女性に幾つもの顔がある。
母。
妻。
会社員。
町内会の役員。
PTA役員。
娘。
嫁。
女。
それに加えて更に違う種類の顔を持つ人もいる。
たくさんの仮面を取り替えて一日を目まぐるしい速度で駆け抜けている女性が多くいる。
そんな中で地主先生のギターで歌うと自分に還ることができる。
ほんのひと時。
自分が自分に還る時間が必要だ。
ひょんな事から、彼女の会社へ見学に行く事になった。
一日中、みくらに引きこもって仕事をしている私にとってはまさに別世界で、ドキドキした。
モノを造ることに携わっている彼女と話すのは楽しい。
ギターを携えて、今日も彼女はみくらの駐車場を足早に急ぐ。
写真はgoo辞書より、転載。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【13】
仙台という地に私は縁がない。
北海道には修学旅行で一度行ったことがあるが、千葉県より北に行ったことがない。
社会人一年目の彼女も仙台に縁が無く、仕事で困っていた。
そうだ、大場昭雄さんに聞いてみよう、と思いつき正月明けに彼女と一緒に私の父に会いに行った。
前日、大人の男の人に仕事の話をする練習のために、地主先生がうんと年上の大人の男の人という設定で彼女の話を聞いてくれた。
まさに彼女にとって、地主先生とのリハーサルであった。
表具師である父は仙台と繋がりがあった。
『一応、話してみるけど難しいぞ』という答えだった。
結果はどちらでも良かった。
困難な場面をどう対処するか、彼女に伝えたかった。
父と彼女は仲が良いので、その後表具の生地などをたくさん見せて説明してくれた。
父には後継者はいない。
しかし、孫のような世代の彼女に一生懸命、表具の仕事について伝承していた。
紺色と朱赤と金色という配色はとても美しく、気品があった。
今回の地主会はデザインの仕事をする彼女の師匠も出演する。
彼女は師匠の考えや仕事の仕方を継承している。
先日のレッスンで
『先生、仙台の仕事、決まりました!』と報告を受けた。
『困難な場面でもとにかく動け』という教えは私の師匠、ラクジーから私が受け継いだものだ。
彼女の歌はきっと誰かに何かを伝えることができる。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【12】
顔にはその人の生き方が出る。
アロマ科の奈保美先生は人の身体を見て、どのような生活をして生きているのかヒントを掴む事ができる。
私は人の声を聞いて、どんな生き方をしているのかを考えるクセがある。
彼の声はとても不思議な魅力のある声だ。
私は若い頃、彼のような音色を体得したくて色々と試した時期があった。
しかし、私の声帯と身体では限界があり、早々に断念した。
これ以上試すと声帯そのものを壊してしまうからだ。
彼には海と風とギターが似合う。
そこに歌と地主先生のギターが加われば、
お酒を飲みたくなるのだろう。
普段はお酒を飲まないが、一度彼とサシで飲んでみたいと思う。
ラクジーも付いて来そうだ。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【11】
母親から子供は産まれる。
私は出産の経験は無いが、子供の経験はある。
母が存命のため、私はまだ子供という役を演じている。
実際に経験の無い事を演じたり、
歌うということは難しいことだと誰かが言っていた。
本当にそうだろうか。
例えば芝居の中で、
『大らかで、優しい母』という役を俳優が演じなければいけない時、
実生活の中で、その俳優が真逆の
『短気で、厳しい母』という性格を全面的に持っている場合はどうなるのだろう。
私の場合、自分とは真逆の考えや性格を持つ主人公を歌うとき、具体的な人物に当てはめてみる。
そして一歩ずつ、それに近づいてみる。
すると自分の中にもそのような要素があることを見つける。
これを見つけ出すまでに時間を相当費やす事もある。
しかし、この時間を費やしてまで見つけ出した自分は誰にも奪えない。
彼女の歌を聞いて、そんなことを考えた。
母と娘とはなかなか厄介なものだ。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道⑩
その日、彼女からは歌う気力が無かった。
だから歌いたくなかった。
だったら神社へ行こう!と誘った。
彼女の目はキラリと一瞬、光を宿し私の目を見返した。
20:40に大野湊神社までの暗い参道を歩くことは中々の冒険だった。
すると、カサカサと音がして足元を見るとサワガニが現れた。
みくら音楽工房にもよくサワガニは現れる。
彼女は『こわい』と言うので手を繋いだ。
『私のお父さんは、サワガニおるんやったら焼いて食べろやーって言ってたわ』と話すと
『えー、食べるん?これ?』と笑いながら歩くとすぐに正門までたどり着いた。
さすがに夜の神社はおどろおどろしい気配が十分に漂っていた。
『中まで入ると、お化けおるかもしれんし、ここでお参りしよう』と二人で手を合わせた。
『みくらのみんなが歌が上手になりますように』
よし!と言ってみくらへと戻った。
玄関に着く頃、彼女の歌う力は戻っていた。
『じゃあ一回だけ歌っていけば?』
『うん』
猫に似ている彼女の瞳は本当に愛しい。
彼女の目の中に宿る光を私は消したくない。
地主会は初出演だが、彼女ならすぐに
地主先生と仲良くなれる。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道⑨
私と同じ年齢で、学校も同じで、
同級生で同じクラスであれば必ず仲良くなって、ずーっと話し続けているよね!
と、私と彼女は話をやめない。
それはいわゆる女性通しのおしゃべりとは違うのだ。
他者がその場に同席して見学をしていたら、
その様子は、おしゃべり と見られるのかもしれない。
しかし、私たちの中では決定的に違うのである。
彼女が何に興味を持ち、
誰に惹かれて、
近い将来を気にしたり、
髪の長さを気にしたり、
この曲の、どこの部分の歌詞が好きなのか。
を真剣に話し合うことは私たちがこの曲を歌う上で必要な打ち合わせであり、重要なリハーサルでもあるのだ。
あまりにも真剣に彼女と話すうちに自分が今、何歳の人間なのかわからなくなる瞬間がある。
そんな時は、
井戸の底からロープで作られた梯子をゆっくりと登りながら地上に戻ってくる。
村上春樹さんの小説の一節をイメージしながら。
イメージを共有するという事は井戸の底まで一緒に降りて、そこで共に体験しなければ難しい。
表層的な領域では彼女に近づけない。
そして、彼女とまたねーと別れを告げる。
彼女は『愛』と『喜び』という説明しがたい言葉の意味を少しずつ体得している。
地主先生のギターにより、そこにさらに
形容しがたい何かが加わることになるだろう。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道⑧
『金沢は4月1日か2日らしいっすよ』
桜の開花情報を弦希先生が教えてくれた。
地主会は4月に開催しているのでお花見にはしばらく縁がない。
人はなぜ、桜を見るのだろう。
彼女に今度会ったら聞いてみよう。
どんよりと暗い冬の空から今年の地主会プログラムのような水色の空色に季節が変わるときに地主会を行なっている。
つらい北陸の冬に地主会に向けて、選曲をし、キーを決め、身体を作り、アレンジを決め、洋服を決め、靴を決め、誰に自分の歌を聞いてもらいたいかを決める。
彼女はこの曲に何を託すのだろう。
最近、彼女が書いた文字を見た。
とても力強く、意志のある文字だった。
この文字が表す感情を地主先生も弦希先生もラクジーも奈保美先生もきっと自然に、無意識に汲み取ってくれる。
この曲は目まぐるしく忙しい曲だ。
もしかすると今、彼女の感情も忙しいのかもしれない。
感情が毎日忙しい人生の時期というのがある。
だからこそ歌って感情を整理する。
地主会後に彼女の感情はどのように動いたかを聞いてみようと思う。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道⑦
個人的に琴線に触れるメロディというものがある。
今回の地主会で彼の歌う曲が私にとってのそれである。
私はこの曲に昔からなぜかロックを感じる。
地主先生はアレンジパターンを2つ弾き分けて聞かせてくれた。
一つ目はバラードっぽいキレイめのアレンジ。
二つ目は個人的に私がロックを感じるアレンジ。
弦希先生もピアノ伴奏で参加してくれる。
どちらも捨てがたいアレンジで当事者である彼がどちらで歌いたいかを決めようということになった。
彼は前者に決めた。
密かに私は後者を望んだが、私が歌うのではない。
彼は決して、稽古を怠らない。
稽古不足では全くない。
私が知る生徒さんの中でも、稽古の量はかなりのものだ。
稽古、つまり練習は量をやり過ぎるとボーカルの場合、喉を中心に楽器である身体を壊してしまうので、量と質のバランスを考慮しなければならない。
彼と、地主先生、弦希先生の演奏により久しぶりに私の中のロック魂を呼び起こしてもらった。
三人の男たちに感謝を伝えなければ。

