2025-03
地主会への道【19】
彼女の選曲はちょっと変わった形式にて決定した。
ラクジーからのリクエストなのだ。
彼女が歌うこの曲を15年ほど前からラクジーはとても好んでいた。
彼女の声の音色にも似合うし、詩の世界観を体現するのにピッタリだと、滅多に褒めないラクジーが絶賛するのだ。
私もこの詩の世界観が大好きで、学生の時、試験の自由曲に選んだ。
汚い話で食事中の方には申し訳ないが、
みくらリビングに黒カビが発生して大変な騒ぎになった。
奈保美先生、弦希先生、ラクジーに手伝ってもらい、徹底的に排除した。
こんなドロドロの世界に私は生きて来たのか。
なんだかおかしい。
なんなんだ。
何かがおかしい。
私が幼稚園の頃から抱いていた謎をこの曲の詩の背景をラクジーの心理学講座にて知る事により、少しずつ解明されてきた。
私が理解するまでにはまだまだ時間を要する。
そして、みくらの講師たちの協力により、
ドロドロの黒カビは取り去った。
以前、みくらリビングに置いてあったピアノを彼女に譲った。
彼女にピアノという楽器が必要だと思ったからだ。
音楽の全体性を一つで奏でる事ができるという極めて特殊なピアノという楽器。
彼女に弾き歌いをしてもらい、このドロドロの世界を浄化してもらいたい。
今の彼女には十分にその力が備わっている。
私が26歳の時に初めて会った彼女はもういない。
そして、26歳の私ももういない。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【18】
彼女は決断が早い。
潔い歌い方をするので、聞いていて気持ちが良い。
私は決断が遅い。
タラタラしているので、キーも選曲も歌のプランニングも、確定申告も、食べるのも遅い。
仕事と決断の早い弦希先生とホームセンターに行った。
矩尺が欲しくて売り場へ。
私は高級な矩尺と安価な矩尺とかなり迷っていた。
『一年に何回も使うもんじゃないやろ?高級な方の矩尺の方が重いし、大場先生使いにくいやろう』
とのお言葉で決定。
熟考しなければいけない場面で、簡単に考え、簡単な事で時間とお金を浪費するクセが直れば私の歌は別のモノになるだろう。
今回、彼女は
『飾らない、普段着のような歌い方』をテーマにした。
今の彼女に必要な歌い方だと感じたし、
曲にも地主先生のギターにも似合うと思った。
彼女ならどっちの矩尺を買うのだろう。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【17】
少年たちが私のボーカル科にたくさん来てくれていた時期があった。
当たり前なのだが見事に全員、全く性格の違う少年ばかりで、てんやわんやしながらレッスンをしていた。
みくらは個人レッスンなので、まだしも。
学校の先生という職業は大変だと心から思った。
ラクジーは孫を見るように楽しんでいた。
ラクジーは、とある少年に本を授けた。
パウロ・コエーリョのアルケミスト。
20代の頃に私もラクジーに勧められて読んだが、忘れてしまったので地主会後にゆっくりと読んでみようと思う。
本好きの彼女はおそらく読んだことがあるのではないだろうか。
どんなイメージを描き、その曲を歌うのかにより、
音色、音程、音量、質感、雰囲気など全てが変わる。
たくさんの豊富なイメージを出す練習には読書が私には一番あっている。
彼女が抱く今回の曲のイメージを観客の中にいる少年はどのように受け取るのだろう。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【16】
私は彼女と大いに笑った。
写真は異質な者としてコーヒーを飲むラクジー。
五月なのになんだか寒気がするというので、
私の膝掛けとストールをグルグル巻きにした。
黄色だらけの異質な存在として、みくらリビングにて佇む。
彼女は今回の曲をレッスンで練習していると二回ほど大きく感情が揺すぶられた。
一回目は考察して、私なりの解釈を説明してみた。
二回目はそんなことをする必要は無くなっていた。
二人とも言葉を交わすまでもなく、
もう大丈夫だと理解した。
地主会では不思議な事がよく発生する。
何気なく選曲した曲が、本人にとって今、歌い切らなければいけない課題を含んでいることがよくあるのだ。
そこへ、思いもしないアレンジで地主先生がギター伴奏をしてくれたりするので、
不意打ちをくらうのである。
この『不意打ち』ということが、私は歌を歌う上で重要だと思っている。
予め想定され過ぎたことを生演奏でやる意味は無いだろう。
予定調和的な演奏ほど聞いていて眠くなるものはない。
何が起こるかわからない、今、この瞬間を彼女の歌で感じてみたいと思う。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【15】
小学生の生徒さんだけではなく、
最近、奈保美先生によくなぞなぞを出す。
大場:『なおちゃん、なぞなぞです。◯◯ってどういう意味だ?!』
奈保美先生:『え〜!?何〜佳恵ちゃん』
大場:『正解は⬜︎⬜︎でした』
奈保美先生:『佳恵ちゃん上手いこと言うなぁ!!』
遊んでいるのではない。
極めて重要な仕事の打ち合わせの会話である。
緊張する場面で、いかに建設的に場を壊す事ができるか、ということは中々難しい。
今回の地主会で最大のなぞなぞが生徒さんから私に出された。
『私は何の曲を歌うでしょうか?!』
大場:『?・・・』
本日は地主会本番まで1ヶ月を切っているのだが彼女は選曲が決まっていない。
地主先生が決めるらしいのだ。
みんなで考えてみようと思うが、
正解者はいるのだろうか。
地主会の出演は二回目で、本当に久しぶりの再会になる。
彼女の弾き歌いを楽しみに取っておこう。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【14】
一人の女性に幾つもの顔がある。
母。
妻。
会社員。
町内会の役員。
PTA役員。
娘。
嫁。
女。
それに加えて更に違う種類の顔を持つ人もいる。
たくさんの仮面を取り替えて一日を目まぐるしい速度で駆け抜けている女性が多くいる。
そんな中で地主先生のギターで歌うと自分に還ることができる。
ほんのひと時。
自分が自分に還る時間が必要だ。
ひょんな事から、彼女の会社へ見学に行く事になった。
一日中、みくらに引きこもって仕事をしている私にとってはまさに別世界で、ドキドキした。
モノを造ることに携わっている彼女と話すのは楽しい。
ギターを携えて、今日も彼女はみくらの駐車場を足早に急ぐ。
写真はgoo辞書より、転載。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【13】
仙台という地に私は縁がない。
北海道には修学旅行で一度行ったことがあるが、千葉県より北に行ったことがない。
社会人一年目の彼女も仙台に縁が無く、仕事で困っていた。
そうだ、大場昭雄さんに聞いてみよう、と思いつき正月明けに彼女と一緒に私の父に会いに行った。
前日、大人の男の人に仕事の話をする練習のために、地主先生がうんと年上の大人の男の人という設定で彼女の話を聞いてくれた。
まさに彼女にとって、地主先生とのリハーサルであった。
表具師である父は仙台と繋がりがあった。
『一応、話してみるけど難しいぞ』という答えだった。
結果はどちらでも良かった。
困難な場面をどう対処するか、彼女に伝えたかった。
父と彼女は仲が良いので、その後表具の生地などをたくさん見せて説明してくれた。
父には後継者はいない。
しかし、孫のような世代の彼女に一生懸命、表具の仕事について伝承していた。
紺色と朱赤と金色という配色はとても美しく、気品があった。
今回の地主会はデザインの仕事をする彼女の師匠も出演する。
彼女は師匠の考えや仕事の仕方を継承している。
先日のレッスンで
『先生、仙台の仕事、決まりました!』と報告を受けた。
『困難な場面でもとにかく動け』という教えは私の師匠、ラクジーから私が受け継いだものだ。
彼女の歌はきっと誰かに何かを伝えることができる。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【12】
顔にはその人の生き方が出る。
アロマ科の奈保美先生は人の身体を見て、どのような生活をして生きているのかヒントを掴む事ができる。
私は人の声を聞いて、どんな生き方をしているのかを考えるクセがある。
彼の声はとても不思議な魅力のある声だ。
私は若い頃、彼のような音色を体得したくて色々と試した時期があった。
しかし、私の声帯と身体では限界があり、早々に断念した。
これ以上試すと声帯そのものを壊してしまうからだ。
彼には海と風とギターが似合う。
そこに歌と地主先生のギターが加われば、
お酒を飲みたくなるのだろう。
普段はお酒を飲まないが、一度彼とサシで飲んでみたいと思う。
ラクジーも付いて来そうだ。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道【11】
母親から子供は産まれる。
私は出産の経験は無いが、子供の経験はある。
母が存命のため、私はまだ子供という役を演じている。
実際に経験の無い事を演じたり、
歌うということは難しいことだと誰かが言っていた。
本当にそうだろうか。
例えば芝居の中で、
『大らかで、優しい母』という役を俳優が演じなければいけない時、
実生活の中で、その俳優が真逆の
『短気で、厳しい母』という性格を全面的に持っている場合はどうなるのだろう。
私の場合、自分とは真逆の考えや性格を持つ主人公を歌うとき、具体的な人物に当てはめてみる。
そして一歩ずつ、それに近づいてみる。
すると自分の中にもそのような要素があることを見つける。
これを見つけ出すまでに時間を相当費やす事もある。
しかし、この時間を費やしてまで見つけ出した自分は誰にも奪えない。
彼女の歌を聞いて、そんなことを考えた。
母と娘とはなかなか厄介なものだ。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵
地主会への道⑩
その日、彼女からは歌う気力が無かった。
だから歌いたくなかった。
だったら神社へ行こう!と誘った。
彼女の目はキラリと一瞬、光を宿し私の目を見返した。
20:40に大野湊神社までの暗い参道を歩くことは中々の冒険だった。
すると、カサカサと音がして足元を見るとサワガニが現れた。
みくら音楽工房にもよくサワガニは現れる。
彼女は『こわい』と言うので手を繋いだ。
『私のお父さんは、サワガニおるんやったら焼いて食べろやーって言ってたわ』と話すと
『えー、食べるん?これ?』と笑いながら歩くとすぐに正門までたどり着いた。
さすがに夜の神社はおどろおどろしい気配が十分に漂っていた。
『中まで入ると、お化けおるかもしれんし、ここでお参りしよう』と二人で手を合わせた。
『みくらのみんなが歌が上手になりますように』
よし!と言ってみくらへと戻った。
玄関に着く頃、彼女の歌う力は戻っていた。
『じゃあ一回だけ歌っていけば?』
『うん』
猫に似ている彼女の瞳は本当に愛しい。
彼女の目の中に宿る光を私は消したくない。
地主会は初出演だが、彼女ならすぐに
地主先生と仲良くなれる。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵