大場佳恵のブログ

会いに来てくれる

火曜日の夕方、彼は私に会いに来てくれる。

白い車で金石にあるみくら音楽工房へと来てくれる。

彼は歌の研究者のように思うことがある。

おでこ、つま先、スネ、頬骨、口輪筋など、歌う時にどの方向に意識づけするのかを毎週研究してくる。

その研究結果を私に教えてくれる。

私はその研究の結果、彼の歌と声がどのように変化したかを伝える。

そんなやり取りの中で、私が彼に教えてもらったことは数知れない。

教えるという行為は、相手から教わる行為でもある。

彼らしい言葉の選択で、私に一生懸命伝えようとしてくれる。

お互いのことを全て分かり合えるということはありえない。

わかったフリをすることで何となく、こういうことか?とコミュニケーションが取れ始める。

しかし、そのやり取りが長年にわたって繰り返されると、フトその瞬間が現れる。

わかった、と思える瞬間だ。

「分かり合えない」という事を前提に不完全な言葉と歌を使い、「分かり合いたい」と思うことがコミュニケーションということなのかもしれない。

去年彼は私に嬉しい言葉をかけてくれた。

『先生、ピアノ上手くなったぞー!』

けっして上手くない私のピアノをずっと彼はちゃんと聞いててくれたのだ。

また火曜日に会おう!

石川県金沢市にあるギターとドラムとボーカルの音楽教室

みくら音楽工房
ボーカル科講師

大場佳恵

2019-05-15 | Posted in 大場佳恵のブログ