大場佳恵のブログ
人生を歌う時
人生を歌うためには、生きなければならない。
経験していないことを想像で歌うことも、ある程度はできるのだろうが、余程イメージの力をコントロールできる人か、湧き水のようにドンドンとイメージが溢れ出る人でないと難しい。
人生を歌える時期に差し掛かった人の歌を聴くと、どのようにその人が生きてきたのか、見せてもらえる。
短い映画を見ているようだ。
人は自分の話を聞いてもらいたい、という欲求がある。
一人の人の話を聞き続けるという行為はなかなか難しい。
苦痛と感じることもあるだろう。
しかし、『聞く』という行為が熟達してくると不思議と歌えるようになる。
先日、5月に吹く爽やかな風のような声の持ち主の歌を聴いた。
彼の声は繊細で、細い。
しかし、その声には意志が強く宿っている。
彼の声を聴くと、いつも新緑の黄緑色と清流の水色を思い浮かべる。
私には出せない色の声。
もしかすると、私の中にはすでに存在しているが、まだ発見できていない色の声なのかもしれない。
歌うことで、彼の人生には新しい色彩が増えた。
石川県金沢市にあるギターとドラムとボーカルの音楽教室
みくら音楽工房
ボーカル科講師
大場佳恵
2019-05-19 | Posted in 大場佳恵のブログ