大場佳恵のブログ

シクラメンの香りと記憶

ボーカルのレッスンをしていると、アロマテラピーレッスンのようになる日がある。

どの種類のアロマオイルがボーカリストにとって良いのか、あるいは、その人にとって効果があるのかを、レッスンで説明させてもらう。

ボーカルレッスンで時間を割いてまで説明する理由は、それほど、アロマオイルの効能が凄いからだ。

香りは記憶と密接に関わる。

キンモクセイの香りがすると、私は通っていた小学校の玄関に一気にワープする。

香りと同様に、音楽もまた記憶と密接な関係にある。

この効果を巧みに小説の世界に取り入れているのが村上春樹さんだ。

村上作品を読んだことのある人なら、彼が持つ音楽の深い知識に感服するだろう。

ひょんなことから、アロマテラピーの講師をしている私の友人と、シクラメンの香りについて歌った彼は親しくなった。

香りと音楽が彼らを繋いでくれたように思った。

出会いとは不思議だ。

彼の声には独自の響きがある。
私はその響きがとても好きだ。

つやつやで、落ち着いていて、なおかつ威厳のある響きだ。

私もいつか、あんな響きの声を出せるようになりたい。

人が歌う理由は、歌う人の数だけある。

理由なんか無い、
あるいはわからない、
という人もいるだろう。

初めは理由がわからなくても良い。
歌いこんでいくうちに、理由らしきものがわかった時、その人の歌は自然と変容する。

シクラメンはどんな香りがするのだろう。

石川県金沢市にあるギターとドラムとボーカルの音楽教室

みくら音楽工房
ボーカル科講師

大場佳恵

2019-05-24 | Posted in 大場佳恵のブログ