大場佳恵のブログ
地主会への道【21】
人の夢の話を聞くことほどつまらないことはない。
と、ある作家が言っていた。
「あら、もったいない」と思った。
そこに創作の種が詰まっているのに。
私は彼女の夢の中に入って、やってみたいことがある。
彼女の腕の手術がしたいのだ。夢の中で医師免許はいらないだろう。
しかし、人様の夢へと侵入して手術をする技を持っていないので、
私は彼女にギターを弾くことをすすめた。
ギターを手にして彼女の歌は良い方向へと変容した。
私の担当する生徒さんが新たにラクジーの夢分析を受けることになった。
「あんた、《魂にメスはいらない》持ってたやろう?あの本、あの子に貸してあげてくれん?」
とラクジーに依頼され、私はレッスンで生徒さんにお貸しすると、
次のレッスン日にすぐに返ってきた。
「もう読んだの?!」
「はい、おもしろかったので一気に読みました!」
生徒さんの顔はイキイキとして輝いていた。
20数年ぶりに読んでみようと思い、パッと本を開くと、
なんと私が最近疑問に思っていたことの答えが書いてあった。
「ミイラとりがミイラになるぐらいのところまでいかないと絶対に治らないと、
ぼくは思います。つまり向こうが溺れている時に、岸から上がれ上がれと叫ぶだけで
助かるんだったら、誰でもできるでしょう。やっぱりこっちも水の中に飛び込まないとね。
しかし、こっちも危ないと思ったら、行かないわけです。
~略~
だから、あまりにも身をいれすぎてこっちが胃潰瘍になったりすることが実際ありますね。」
魂にメスはいらない
河合隼雄 谷川俊太郎
P81、82引用
河合隼雄さんに慰められたと同時に、私とみくらの方向性を確認した。
こんなことが夢分析を始めると頻繁に起こる。
夜に寝て見るたった一つの夢が、その人の人生を大きく変えることが本当にあるのだ。
彼女はギターを弾いた後、どんな夢を見ているのだろう。

みくら音楽工房
代表 大場佳恵