大場佳恵のブログ

赤の刺し方

たまたま見つけた夜中の教育テレビの番組。
篠田桃紅さんの特集をしていました。
墨で絵を描く102歳の女性です。

102歳という年齢にも驚きましたが、作品の素晴らしさに

『あぁー!』と声がでました。

魂のようなモノに出会うと人は、

『あぁー!』と言う声がでます。

作品を見ながら自分の声も観察していました。

オーダーメイドの筆を自分の身体の一部のように使い、自由に線を描いていきます。
墨の濃淡、筆圧、イメージ、呼吸、身体。

これらが今、ここにしかないという瞬間を描き出していきます。
黒という墨の色の濃淡の中に、さっ!と現れる赤。
痺れました。
なんてことだ。
『あぁー!』という声の後にはため息が漏れ、私の中からイメージが映像として現れ始めます。
オシャレな人は赤の使い方が抜群です。
みくら音楽工房の名刺やフライヤー、ホームページを作成してくれているラクジー師匠の娘さんも作品の中にステキな配置、バランスで赤を使っています。
膨大な種類の赤の中から、みくら音楽工房に似合う赤を探し出す作業は大変なことだと思います。
篠田桃紅さんの赤の刺し方にはたまげました。

もちろんご本人は、刺しているつもりなど無いと思います。

しかし、私には突き刺さりました。
『人は真実を見ようとしないんです』
とおっしゃっていた言葉が赤に刺された以上に私を貫きました。
人は本当のことを見ようとしない。真実には触れたくない。
だから、

『~のようなモノ』
で満足をしているフリをします。
しかし、篠田桃紅さんの作品を見てしまうと、もう、

『~のようなモノ』では満足できません。
オシャレな着物をサラッと着ている桃紅さんの風貌は老賢者そのものでした。
作品が欲しいと強く思いました。
絵が欲しい!とこのような感情を抱いたのは初めてのことでした。
本物を見よう。
  
石川県金沢市にあるドラムとボーカルの音楽教室
みくら音楽工房・ボーカル科講師
大場佳恵

2015-10-24 | Posted in 大場佳恵のブログ